井島先生のおシゴト日記+α

「なぜ当社ですか?」

キャリアコンサルタントの私は、就職に向けての支援の仕事(研修)もしています。
ジョブカードの指導や応募書類の作成、そして面接時の受け答えのしかたなども、就職支援に含まれます。

もう10年以上も前になりますが『人は見た目が9割』というのが流行りました。
私もその頃イメージコンサルタントの資格を取り、外見の影響力について力説していたものです。
その流れで、採用面接時の服装、マナー、受け答えまで、だんだんとマニュアル化されてしまったように思えます。
どこを切っても金太郎飴みたいな(笑)
ま、その方向で教えているのですから、当たり前の現象といえるのかもしれません。

「応募書類をみても、面接の受け答えを聞いても、皆同じで個性を感じない」
そんな声が採用担当者から聞こえるようになりました。

何か個性を引き出す質問はないか・・・。
最近面接でよく聞かれるのが
「この仕事はうちじゃなくてもできますよね。なぜ当社を希望されるのですか?」

志望動機にも直結する良い質問のようにも感じますが、答える方は難しいと思います。
どんな回答を期待しているのでしょうか?
歯の浮くようなお世辞はいらないはずですが・・・。

答えられるように企業研究もさせますが、
正直、私なら「たまたまです」と言いそう。そこに山があったから(笑)

今の就活は本当に大仕事だと思います。
応募書類は添え状+履歴書+職務経歴書の三点セット。
年代の違いかもしれませんが、私の頃は履歴書だけでした。
リクルートスーツもなく、普通のカジュアルな服装で面接に行ったことを思い出します。

逆にとらえると、
そんな大がかりな応募書類を書き、スーツに身を包まなくても、
当時の採用担当者は求職者の人間性や可能性や、そして会社の求める人材であるかを見分けられたのかもしれません。
今は根掘り葉掘り聞き出した答えで、その人を意味付けし、判断の材料にしているのかもしれません。
なんだかさみしいことに思えてしまいます。

もしも「たまたまです」と答えるしかなくても、それは、実は、大きなご縁。
たくさんある求人や企業のなかから、何かの縁で繋がろうとしているのかもしれないですね。
たまたま、
会社の名前や、場所が心に触れただけかもしれませんが、それって偶然じゃなく必然だということかも。
少なくとも私は、“たまたま”から良いご縁を頂き、社会人としてたくさんの素晴らしい経験を積むことができました。

そんなことが頭をよぎりました。

[「なぜうちを?」今日はこちらが聞いてみる スーツの私と巣かける燕]
そんな気持ちが解るような・・そして答えも解るような。
東洋大学の現代学生百人一首のなかの、大学四年生の歌です。

ま、でも現実は現実。
頑張れ、就活中の皆さん!