BLOSSOM通信

「こぎつねヘレン」

とても感動して、感銘をうけて、涙した話をします。
『こぎつねヘレン』という邦画があります。動物を飼っている私は“少年と動物の物語”程度に捉えていて、それでも、障害を持ったきつねがどこかかわいそうで泣けてしまうのだろうな・・・とそれくらいの考えでした。
北海道の北の大地での、太一少年と、目も見えず耳も聞こえないこぎつねヘレンの物語です。視覚と聴覚に障害をもった動物は、臭覚も利かず、仲間を感じることとも食べ物を口にすることもできないと、初めて知りました。そんなこぎつねヘレンを、太一は一生懸命育てようとします。ミルクを飲むことを教え、肉を食べることを教え・・・。ほんの数グラムの体重の増加を、ヘレンの命のつなぎように太一は思えたのかもしれません。
暗闇で生きなければならない障害を持ったこぎつねは、生きること自体が、“苦痛”であると、獣医は太一に諭します。太一は「でも、ヘレンはこんなに頑張って生きてるんだよ!いろんなことができるようになったんだよ!できないことよりできることのほうが沢山あるんだよ!ミルクも飲めるし、お肉も食べれる、僕の事だってヘレンはわかるんだよ!」と必死に反論します。
獣医は静かに言います。
「ヘレンはもう十分幸せだよ、太一。ヘレンはとても頑張った。でもヘレン以上に頑張った太一がいたから、ヘレンは頑張れたんだ。」こぎつねのまぁるい澄んだ目と、太一の純粋な必死な目が、今も思い出すと涙が出ます。
「太一、“辛い(つらい)”という字に、一を書き足すと“幸せ”になる。辛いことも一緒に乗り越えようと頑張ってくれる人がいると、乗り越えられる。辛いことが幸せになるんだ。ヘレンは太一と一緒で、今まで一緒に生きてこれて、もう十分幸せなんだよ」この獣医の言葉は感涙でした。そして涙と共に、教えられた気がします。辛いことも一緒に乗り越えようと頑張ってくれる人がいると、乗り越えられる。辛いことを幸せにできる人の心の温かさを。
ラストシーンは、太一は色とりどりの美しい花をヘレンに感じさせようと、花を摘むシーンです。悲しいことにヘレンの命は絶えてしまいます。でも最後にヘレンは太一を求める魂の泣き声をあげ、またまた私は大泣きでした。今こうしていても思いだして泣けてきてしまいます。(笑)
無償の愛情の深さとあたたかさ。そのシーンは、色々なことを気付かせてくれるものです。
部下を持ち指導し育成する上司として、経営者として。また子を持つ親として、一人の女性として、『こぎつねヘレン』をみて、泣きながら感じ取ったことはとても大きかったと思います。
※会話やニュアンスは、私の受け止め方であり、原作と同一ではありません。