「2年目の孤独」という言葉があるそうだ。
新人・若手の育成のポイントを考えるうえで重要なキーワードだろう。
今、新しい年を迎え、社会人二年目に向かっている新人たちが抱えている大きな問題かもしれない。
入社1年目の新人は周囲の関心が高くフォローも手厚い。
社員は入社時、新人研修で「マネジメント(PDCA)」「優先順位」「報連相」などという言葉を教えられる。
だからなんとなく理解し、1年間使ってはみる。
しかし、それらは周囲の見守る中、フォローありきの中でやってきたこと。
実際は何かあればすぐに周囲が手助けをしてくれ、
自分が気づかないうちに軌道修正されたり、引き出されたりしてきただけだ。
幸いなことに大きなしくじりはなかったかもしれない。
失敗の経験にはつながらなかったかもしれない。
だから、本当に自分で、自発的に、適切にそれらのテクニックを使えるかというと、
ほとんど使えない。
それを二年目社員はよく自覚している。
社員の2年目の仕事も周囲がフォローしてくれれば、問題はない。
実際は彼らが二年目になったとき、
これからが本腰を入れて仕事を教えなければならないとなったときに、
実は会社は2年目社員からは目を離し、1年目の新入社員に目を向ける。
二年目社員はその現実に対し、自信や成長ではなく、「不安」「不信」を抱いてしまっても
やむおえないのではないだろうか。
2年目社員は、このようなことを口にする。
・今は自分が順調に成長できているのかわからなくなってきて漠然とした不安がある。
・同期がどれだけ仕事をできるようになっているのかは、気になる。
・配属が本格化し、同期とは部署が離れ、コミュニケーションを取る機会が減少。
・仕事の面でも、任されることが増え期待の高さを感じる。
・目標達成や顧客への対応レベルも先輩と同じレベルで求められていると感じる。
・数字や顧客案件の会話が中心となり、できて当たり前という状況だ。
・努力していますが、なかなか期待に応えられない自分にもどかしさを感じる
・周囲と会話する量が減っていると感じる。
このような不安を抱えていては、良い仕事ができるわけがない。
このような不安を抱える背景には、
1年目から2年目という転換にあたって、大きな3つの変化が生じるているからだ。
1つ目は、仕事の成果に対する期待の高まり。
二年目になると、一人前として扱われ期待水準は先輩たちとほぼ同等になっている。
仕事を任せる側としては、2年目になったのだから当たり前だという感じで、仕事を任せてしまいますが、
受け手としては相当なプレッシャーを感じている状態にある。
2つ目は、周囲のサポートやフォローが圧倒的に減少するという現実。。
急に補助輪が外れ、一人で頑張れという状態になる。
しかし、本人は補助輪を外されることに対し、とても不安定でおぼつかない。
3つ目は、同期とのつながりが薄れる現実。
不安や悩みの解消相手として同期を少なからず頼り、支えあっていたのに、
本格的な配属策が決まっていき同期との接点が少なくなることへの寂しさを感じずにはいられない。
これらの変化に伴う不安が、2年目の“急なつまづき”に拍車をかけていくのだ。
この状態を「二年目の孤独」という。
思い起こせば、今は立派な仕事をしている先輩たちにも、
こんな時期があったことを容易に思い出すことができるだろう。
それでも年功序列が残っていた組織の中では、誰かがなんとなく手を差し伸べてくれていた。
身近な先輩をみて、見よう見まねでもすり抜けられたこともあった。
でも、今の時代は「なんとなく」助けてくれる人はいない。気づかせてくれる人はいない。
1年目の終わりには、
期待が大きく高まることともに周囲のフォローが少なくなることへのセルフマネジメント力の強化など、
2年目になるにあたっての必要なインプットを行うことができれば、どうだろう?
人材は勝手には育ってはくれない、
目をかけ、手をかけ、育てていかなければ、
きれいな花は咲かないし、立派な実はつかない。