井島先生のおシゴト日記+α

若手社員「育成」の問題とは

年も変わりあっという間に2月。
4月の新入社員の受け入れに、そろそろ本腰を上げる時期だ。
ちょうど、札幌建設業協会様で、新人職員の指導者向けセミナーの依頼を頂いたので、
「人が学び育つ職場環境の創り方」と題して3時間半の研修を担当しました。

内容は、
現代の育成の問題としては大きく2点。
一つが【世代の特性論】。つい口にだしてしまう、あの「今どきの社員」問題といわれています。
確かにここ数年、ゆとり世代といわれる世代とのジェネレーションギャップに頭を痛めた方も少なくないはずです。
ゆとり世代は安定志向・ストレス体制が弱い・真面目だが快活さが乏しい、というような傾向が強いです。
このような特性を持つ「今どきの社員」は育てにくい、ということです。
そして2つ目が【育てる自覚不足・時間不足】という問題です。
新入社員の教育・指導を中堅社員に求める会社は73%だといわれています。ですが、その中堅社員が実際に新入社員の教育・指導ができているかというと、ややできているというところまで落とし込んでも3割に満たないのが現状です。
中堅社員と呼ばれるものからしてみれば、新入社員の教育は「自分の本来の仕事ではない」と感じていたり「人にものを教えるという習慣がない」という拒否反応が少なくありません。

実はこの2点の育成の問題は、昨日今日の問題ではなかったのです。
1966年、まだまだ日本の経済や雇用や良いころからすでに“問題”とされていました。
「今どきの社員」・・・この言葉は、10年も20年も前から繰り返されている言葉です。
それぞれの時代の新入社員にネーミングもつけられ、別名「宇宙人」とか「新人類」ばどとも呼ばれていました。そう、今の課長も、部長も、そんな時期があったのです。
ということは、ゆとりやさとり世代のみを「今どき・・」と呼ぶのではないということです。

そして、まだまだ年功序列の制度があった時代でさえ、教えるという意識は決して高くはなかったのです。それは、教えるスキルを教えていなかったからです。

即効性の解決策はないのかもしれません。なんでもそれなりの時間がかかるのは当然です。
でも、その時間がかかることや、敢えて教えるテクニックをつかうというストレスを軽減できれば、また何かとリンクさせることで無理なく無駄なくやっていくことができれば、いいだけです。
そして、打たれ弱く(?)早期離職傾向の強い新入社員を、モチベーションを維持させ、安定して雇用できるような環境があれば、それがこの時代一番やりたい、一番必要な「育成」なのではないでしょうか。

どんなに時代が変わっても、やはり「仕事」はコミュニケーションありきです。
言葉を通してどれだけ細部にわたって「仕事」を共有できるか、が仕事の質を決める最大の要素なのです。
わかっているはずなのに、それができていないのです。
色々な理由をつけては、コミュニケーションをしないようにしているからです。
色々な理由を外して、必要なこととその結果に意識を向けて、コミュニケーションをすべきなのです。

新入社員に最初に教えたい基本のことは2つです。
まず、【学び方を学ばせる】。しばらくは教わること、学んでいくことが主です。学び方を教えるとその後の習得するものの量や質がぐんとあがります。
そして【他者との関係性に焦点を当てさせる】。自分が周囲とどうかかわっているのか、それがどんな意味をもつのか、ではどのようにかかわるとよいのか、です。

この2点は、コミュニケーションを通して、育ちます。コミュニケーションをとりながら自然な形で新入社員を育成していくことができるのです。

札幌建設業協会様での研修では、具体的な実演習も織り交ぜながら、確認していただきました。
良きにつけ悪しきにつけ、少しの意識が環境を創っていることを認識していただきました。