厚生労働省はもう数年前から、ジョブカードを活用した労働者に向けたキャリアコンサルティングを推奨し実施し続けています。私はその事業を請け負っている企業から、さらに委託を受けてキャリアコンサルティングをしています。
そして、やっと昨年あたりから、企業の担当者様が、この労働者キャリコンの意味を分かってくれるようになってきたと、自分の立場からも実感しています。もちろん担当企業とその担当者の活動がベースではありますが、令和3年度はある意味順調に数字も伸びているからです。今年度は様々な業種のビジネスパーソンとカウンセリングをしてきました。
現在の労働者キャリコンの目的は、その個人のその会社でのキャリアアップです。自分では気づきにくい、その人の仕事上の強みを引き出し、背中を押したり、仕事を進めていく先のゴールを描き、キャリアビジョンを鮮明にし、その達成のためのプロセスを共に考えていくことが多いです。
元々の上下関係の希薄さや、コロナの影響もあり、職場のコミュニケーションの量も減り、質も下がっています。そのような状況下で、プロのコンサルタントが話を引き出すことで、モチベーションが維持できたり、新たな目標を創ることができます。
『客観的に自分を見ることができた』『疑問や不安にこたえてもらえて、気持ちが前向きになった』などのコメントを良くもらいます。
我々コンサルタントもまた、仕事を持ち活躍しているビジネスパーソンと話をすることで、新たな気づきとパワーをもらっています。
・自分の仕事が好きな人が多い。
・社内の人間関係から多くのことを学ぼうとしている。
・自分の性格や強み等、自分のことを把握していて、自分に合った生き方を望んでいる。
・家族(親や兄弟)のことを考えながら仕事をしている。
どの人も自分が置かれている状況を把握し、自分に合った仕事の仕方を模索しつつ、家族や家を思って頑張っていることが伝わってくるのです。今の時代、特に若い人たちは、もっと勝手に、もっと楽な生き方を望んでいるのかと思っていたのですが、いえいえ、かなりしっかりしています。
しっかりしているので、答えの出ていない悩みを抱えていることも事実です。答えはその人の中にあるとはいえ、その答えに気づくヒントはあげたいなぁと、いろいろ質問しています。
我慢が、我慢ではなく努力だと気が付けるように、
不満が、不満ではなく期待なのだと感じられるように、
現状という今はあっという間に過去になり、この現状が明日につながっているということを、一緒に描いていくのがキャリコンの一つの在り方だと考えています。受けられた人が、活力を補い、明日からまた強く踏み出して進めるように・・・
そういえば・・・
遠い昔は、仕事帰りにお酒を飲みながら部下の話を聴いては、上司として自分の経験を話すことが、あたりまえでした。自分も部下として、そんな中から仕事のヒントを得て、そして上司への信頼を厚くしたものでした。
本来は直接そのような人間関係で、そのような話ができていくといいのだと強く思います。
今は職場や現場に責任者や上司が不在という会社も少なくありません。もちろん年功序列は死語です。社員と呼ばれる立場の人が、極端に少ないのも、近年の傾向ではないでしょうか。
良い意味でも、悪い意味でも、社会や会社や働き方が変わり、キャリアコンサルタントが補わなければならない部分が増えてきているのでしょう。
在職者・労働者で会社や上司の悪口を言う人はほとんどいません。ただただ自分を見て、考えて、悩んでいます。一人で誰の力も借りずに乗り越えるのは、キツイことです。
私もお付き合いのある企業様には直接推奨するほど、キャリアコンサルティングは普通にあるべき、普通に活用するべきだと考えています。
キャリコンが浸透し、進んできたとはいえ、その対象は入社年数の浅い人たちがほとんどです。本当は中堅社員やリーダーの方が必要としてると思います。中堅社員やリーダーの方が、社内でもその教育を徹底されておらず、悩みを抱えている人、方向性を探している人が多いと思います。その自分の立場の知識も能力も発揮できていない人が多いです。
企業の社員研修の講師としても、若手より中堅以上の社員のスキルアップと、フォローが必要だと強く実感しています。
労働者キャリアコンサルティングがもっともっと幅広い層に活用されるように、進めていきたいと考えます。良い実感を持ってもらえるように勧めたいと思います。
是非、皆様の企業でも、ご検討ください。