BLOSSOM通信

“資格”より“自分という人間性”に目を向ける

札幌商工会議所 生涯学習センターの職業訓練の授業の一つを担当しています。

商工会議所ということもあり、簿記資格の取得と付随する多くの能力を身に付けることができる講座です。
数ヶ月間の間に、簿記2級の資格を取得し、実務に必要なパソコンも含めた多くの技能と知識を習得していきます。
最終ゴールは、経理・財務等の事務職への再就職です。

私はジョブカードのカウンセリングも交えながら、
終了間際には就職支援ということで、面接対策の授業をしています。

就業に際し資格を重んじられる傾向が否めないので、受講生の目は試験に合格することが最優先のように思えます。

でも、実情は、「資格のあること、経験もあること」が求められ、経験の無いことをどう補うかが面接でも大きな課題になると考えています。

補う方法は、【自身の組織に対応できる人柄】や【これまでの経験から生まれた問題解決力、そして知識や技能】を、いかに今後の仕事に繋げていくか、という意思を伝えることにあります。

職場や職種が異なっても、仕事に対する気持ちや考え、必要とされる能力は『ある一定のもの』だと実感しています。
・迅速に仕事を進める力
・正確に丁寧な仕事に仕上げる力
・周囲との協調力・受容する力
・自己開示ができる親和性
・確実に仕事を進める責任感と信頼
等々が、どんな職場でも、どんな職種でも外せないところだと実感しています。
それらの力、意思を持っていてくれなければ、いくら素晴らしい資格を取得していたところで、活かすことはできないのではないでしょうか。
だからこそ、自身の中のそれらの部分に、自身が気付き納得し自信を持ってアピールしていく必要があるのです。

ところが、なかなかそこに気付けない人が多いのです。
『資格神話説』が根強いからでしょうか。
「豚に真珠」等と言いますが、人柄・人間性が優れていなければ、宝石もただの石にしかならない、別の見方をすれば、人柄・人間性を磨いて、素晴らしければ、小さな石も宝石の輝きを持たせることができる、という事でしょう。

1日の授業で、私はそんなことを熱く語ってしまいます。
『ちょっと時代が違うかなぁ…』と正直考えてしまうのですが、イヤ、時代が変わっていくからこそ基本はしっかりしていないと、ダメなのだと、確信しなおすこと多々です。

売り手市場と言われているせいか、『仕事が無い、仕事に就いていない』という不安感はそれほど大きくなく『何とかなるから!』という根拠のない裏付けだけが独り歩きしているようにも思えます。

「一生懸命働く」という意味合いも目的も時代と共に大きく変化していることを感じてはいますが、「働かない」という選択肢は、寂しすぎます。
働く…人のために動く、と、この文字が示すように、人さまのために何か動くことで、得られる感動は図りしれないと思います。
人さまのために動くのに、自分の持っている人間性と、資格と、どちらを優先すべきなのでしょうか…。

資格も就職には大いに役立つし武器にもなるし、何より学ぶことで知識になります。
そして、その資格を取ろうとした、また勉強をして取得した自分の想いや考え方を、一番大事にしてほしいと思っています。
その自分のしてきたことを客観的見つめ、自分自身の良さをまずはアピールしてほしいと考えています。

3か月の勉強でこれほどたくさんの資格を取れたのだから、就職して3か月あれば、仕事もしっかり覚えられると思いませんか?
でも、“人柄・人間性”はそう簡単には変えられない、スゴイものだと私は思っています。