BLOSSOM通信

若者の「働く価値観」その後~ワークトライアル事業 所感~

11月から北海道アルバイト情報社が行う札幌市のワークトライアルの座学を担当しました。
2019年度の後期は対象者の年齢が少し幅広くなり、転職のための就活でした。

なかなか正社員で働くチャンスがなく、アルバイトでの期間が長かった人。
新卒で入社し、10年近く一つの会社や職業についていた人。

人の転職の目的やきっかけはいろいろだと思いますが、
方向性としてはたった一つだと思います。
「今より、もっと自分にとって納得のいく仕事がしたい!」

前職を辞めるとき、辞めた時というのは、どこか後ろめたい気持ちが残ります。誰かを責めたい気持ちも存在します。
「ここでやめるなんて、自分の努力が足りないのかも。」
「辞めるなんて、“負ける”ってことかも。」
「会社がもっと、働きやすいところだったら良かったのに!」
「上司があの人でなければ私は辞めることにならなかったかも!」

どちらにしても、“退職”という決断をしたのは、自分自身です。
まず、そこに負け犬になっては、良い転職ができるはずもありません。
今一度、自分の気持ちを整理します。
『辞めてどうしたかったんだろう?』
すると、正直で肯定的な自分の気持ちが分かります。
「今よりもっと自分にとって納得のいく仕事がしたかったんだ!!」と。

さてさて、そんなところからスタートした今回のワークトライアル。

全体的におとなしい控えめなタイプの若者が多いのが大きな特徴です。
しっかり聞いてはくれていますが、どうも反応が薄いのです。
彼らがどのように短期間で就活を進めてくれるのか、少々不安に思ったのは事実です。

彼らは「なぜ働くのか?」というより「どのように働きたいか!」に重きを置いているようです。
平成育ちの彼らは、自分の生活を重視し、バランスをとりたいと考えています。
その自分の生活や生き方に無理がかからないような働き方を望んでいるのです。
平成育ちの彼らは、学歴もあり、このITの時代に難なくついていけるだけの能力があります。
だから、大体の仕事はそれなりにできるし、その自負もあるのでしょう。
ダントツ、は目指さないけれど、ソコソコ、すぐにでも可能な力があります。

昭和に育った私世代は「なぜ働くのか?」を重視してきました。
その意味や目標を素晴らしいこととして思い込み、家庭や自分の時間を犠牲にしてしまった人も少なくないかもしれません。
そんな親世代をみて、『同じ生き方をしたい!!』とは思えないのでしょう。
まして、経済的に考えても、あのバブリーな時代はもう来ないことはわかっています。

だから「どのように働きたいのか」が大事なのです。
わずか3週間の座学研修の期間に、ほぼ全員がワークトライアル先を決めました。
おそらく順調に正社員として登用していただけるでしょう。
それくらい、彼らはしっかりと「そのように働きたいのか」を考えているからです。

昭和の私からすると、
「その仕事でやりがいは持てるの?」
「なぜ自分の学歴(資格・能力)を活かさないの?」
「若いんだから、チャレンジしようよ!」
と、老婆心丸出しになりそうです。(笑)

そして、彼らから学んだことが、今回もたくさんあります。
彼らはいい意味の「安定・安心」を知っているのです。
自分にとって「大事にしたいこと」を大事にできるのです。

「ブラック企業ではない、働きやすい企業で仕事がしたい。」
それは怠慢さでも、主体性の無さでもありません。
納得した生き方をしたいからこその、選択なのかもしれません。

私自身としては、まだどこか不可解な部分はあるのですが・・・(笑)

そして、座学が終わり、それぞれが実習を経験し終える12月の中旬。
彼らの働きかた改革が前進し、そして少しでもやりがいを感じようと思った企業様とのご縁が咲き始めます。
私とは別な意味かもしれませんが、楽しく仕事をしてほしいと願います。