「上司や先輩に『あなた、これができなかったら、次には進めないわよ。これができなかったら、あなたに仕事を任せることはできないの!』と言われることがあります。
今までは、その言葉や言い方にひどく傷つき、落ち込んでばかりいたのです。
でも最近は『これができたら、次に進める。これができたら仕事を任せる』って言ってくれたらいいのに、とちょっと落ち着いて相手の言葉を聞けるようになりました。
NLPを学んでから“言葉を選ぶことが大切なんだ”と気づけるようになりました。」
私はNLPという実践心理学のトレーナです。
授業の中で、学びに来ている受講生さんから、いつもたくさんの“気づき”を共有させてもらっています。
先日も、とっても物静かでおとなしく見えるTさんが、授業の前に必ずする『グッド&ニュー』で、言葉を選ぶことの意味を話してくれた時、なんだか感動してしまいました。
Tさんは授業の最初のほうは、暗いイメージで薄いガラスのように見えました。
職場での悩みや不安も抱え、声にならないため息でお話をするような印象でした。
しかし、授業が進むにつれ、下を向いていた顔が上がり、かすれた声が力を増し、暗く見えた顔に明るい表情がもどりました。
そして、言葉のもつパワーを感じ取ってくれた今、Tさんは本来の自分らしさを取り戻したようです。
NLPの授業では、最初に受講生の皆さんに約束をしてもらいます。
「否定的な言葉は使わない、肯定的な言葉で肯定的に表現しよう」です。
例えば、
「不幸にならないように頑張る」のではなく、「幸せになるために頑張る」のです。
「転ばないように歩く」のではなく「上手に歩く」です。
えっ!?という、あまりに簡単なことなのです。
でも、人は否定的な言葉をついつい当たり前のように使い、他社も自身までもを嫌~な気分にさせてしまっていることが多いのが現状なのです。
そして、このあまりに簡単な「肯定的な言葉を使って表現する」ということは、実は結構難しく、うまくできていないことも事実なのです。
NLPは実感できると、その内容や理論が自分の中にぐわ~っと入ってきます。
Tさんは、よいことに気が付いたのです。
私はトレーナーとしてTさんに言いました。
「今度は、そう感じたら、Tさんが否定的な表現をバックトラックして、肯定的な表現にリフレーミングして伝えてあげたら、その相手をリーディングできそうだね!」
「これができなかったら、次には進めない」と言われたら
「これができなかったら次には進めないんですね?ということはこれができたらどんどん次に進んでいけるってことですね!?」という具合に。
相手も、「そうね、そういうことね!」ということになるでしょう。
相手が本当に言いたいことは、『次に進みましょう』ということではないでしょうか?
お互いホンネで素直に表現したいですね。
Tさんだってグチグチ嫌味チックにいわれるより、すっきりさわやかに励まされたほうが気分よく仕事が進むはず。
そう、これが「言葉の力」なのです。
先日、植松電機の植松努さんの講演を聞く機会がありました。
その中で、
「たくさんの夢を持っていても、その夢を持つ人を殺す言葉がある。
それは「どーせ、無理!」。その一言で夢を持った人を殺してしまうのです」
とお話しされていた。
当初は植松努さんが「ロケットを作る」といったとき
周りからは、「そんなことできるわけない!」と、
社長からは「金にならん、もったいない」と
社員からは「やったことがないから出来ない」と
「できない、できない」「無理だ」「金がもったいない」否定的な言葉の雨嵐。
普通ならばここで「やっぱりやめとこおうかな・・・」と思ってしまうところですが、
そんな状況の中でも、植松努さんは宇宙開発をスタートさせました。
「無理だ、できない」という否定的、疑い、不安な空気が支配する中で、
「60年も前の人たちができたんだから、僕たちにもきっとできるだろう」と。
「どーせ、無理」じゃなく、
「いいじゃん!」
「やってみたらいいよ!」
と言えたら、言われたらどうだろう?
その人が発する言葉には、その人の人間性が現れる、と言います。
言葉はしっかり選んで、そして意図をもって使えたら、素直に表現できたら、きっと自分も周囲の人も豊かにする言葉になるのです。