今年に入って、なんだか慌ただしく2月になってしまった気がしています。
この慌ただしさについつい「忙しい、忙しい!」と声に出してしまいそうになります。
時間と仕事に追われているようで落ちつかない。予定外の1分、1秒に対してもぴりぴりと苛立ちを感じてしまうのです。
誰が仕組んだわけでもなく、ただただ自分の管理ミス・・・出来そうな気がして予定を埋めたことを自覚しているから、余計にそんな自分の甘さが情けなくて、誰にとも無く「忙しい!!」とぶつけてしまいそうになっているのがわかります。
あぁ、頭の中が整理できなくなっている。あぁ、感情が優しさと穏やかさを失くしている。
『忙しい』は、『心を亡くす』事と書きます。
「忙しい」と云うたびに、心が乾いていくような気がしませんか。忙しさは、本来喜びから達成感に繋がることであり、負荷をかけられていると感じるときは、どこかに潤滑油が回っていないときでしょう。
私も早めに、心に加湿器が必要だと思いました。
ふと、冬になると思い出す、昔から好きだった童話の絵本を思い出し、無性に手にとって読んでみたくなりました。
【てぶくろを買いに】・・・私にとっては、なぜか暖かい涙が出そうになる優しい物語なのです。
情緒のある日本語と、誰かを思いやる気持ち。皆が愛情深くて、暖かくて、優しくて、そしてほろ苦い寂しさと悲しみ。
絵本を手に取ると、やわらかい絵が、物語の場面に誘い入れてくれるのです。
物語に描かれている、雪の冷たさも夜の街の静けさも、母狐の優しさも子狐の可愛らしさも、一緒に感じることができるのです。
雪遊びで冷たくなった子狐の手を温める母狐がそこにいるようです。
「お母ちゃん、おててが冷たい」
母さん狐はその手にはーっと息を吹っかけて、ぬくとい母さんの手でやんわり包んで・・・
子狐が間違って自分の手を出したのに、手袋を売ってあげる帽子屋さんの心が伝わります。
「このおててにちょうどいい手袋下さい」
帽子屋さんは、おやおやと思いました。狐の手が手袋をくれと云うのです・・・
手袋を持った帰り道、子狐は人間の子供の声を聞きます。優しい親子がそこにいます。
「母ちゃん、こんな寒い夜は、森の子狐は寒い寒いって啼いているでしょうね」
すると母さんの声が
「森の子狐もお母さん狐のお唄を聴いて、洞穴の中で寝むろうとしているでしょうね」
この【てぶくろを買いに】は、新美南吉が『生存所属を異にするものの魂の流通共鳴』をテーマに、生涯をかけて追及していた中の一つの作品と言われています。
私は難しいことは分かりませんが、
亡くしかけた心に潤いを与えてくれる物語です。
自分以外の誰かのことも、気にかけることができる心のゆとりをなくしてはいけませんね。
気持ちが和み、目や口元が自然にほころぶ・・・
【てぶくろを買いに】そして【ごんぎつね】も、私の心の加湿器は、私の心に喜怒哀楽と、今日からの元気をくれました。