BLOSSOM通信

動き出した“新年度”を感じる研修

3月になると、新年度に向けた社員研修がスタートします。

札幌商工会議所では、数年前から【新入社員基礎研修】を3月に基礎編と応用編に分けて指導しています。会社によっては、3月から既に就業が始まっていたり、中途採用の方も入社時期は4月とは限らないので、早めの研修をご提案させてもらったという経緯があります。

4月に実施する【新入社員研修】はフレッシュマンという新卒者の参加が殆どですが、こちらの【新入社員基礎研修】は実務系経験があったり、人事の担当者が参加することが珍しくありません。

経験者もいるので、参加者は逆にいろいろな目線からの話もシェアできるのが利点かもしてません。

そして最大の特徴が『会社では教えてくれないビジネスマナー』と題して、一般的なビジネスマナーというより、「社会人としての心構え」や「職場のコミュニケーションや人間関係」についての項目が多いところです。

これは私が先輩社員あるいは上司として、研修に求めるところでもあったからです。なかなか自分の部下には面と向かって「社会人としての心構え」は口幅ったくて言えなかった記憶があります。「社会人と学生の違い」もついつい説教じみた話になり、部下は『そんなことはもうとっくにわかってるよ!』という顔をしている割には、まったく身についていない理解できていない部分でした。

だからこそ、入社前にちょっとでも感じ取っておいてほしい“常識”でもあったのです。

先週、前半の【基礎編】が終わり、今週は続きの【応用編】があります。

電話応対や言葉遣い、服装や名刺交換はとても重要で、当たり前に身につけておく必要は大いにあるのですが、実はそれ以前にわかっていて欲しいことがある。わかっているからこそ、電話応対や言葉遣いの必要性の意味がより理解できて興味が持てるのではないかと考えています。

最近は内定をもらって新入社員になって入社した時には、もう既に転職サイトに登録をしている社員も少なくない、と大手の企業の人事部長に聞きました。

キャリアコンサルタントとして学生の就職活動にも、転職者の支援にも関わりますが、応募書類の傾向は売り込み、というか自己PRの強さを良しとしているところがあります。どうしても自分を過大評価しないと、熱量の高い志望動機も自己PRも訴えることができません。ですが、それはあくまでも応募書類上のイメージというかプレゼンテーションだと、私は思うのですが、そのようなエントリーシートを作成し、面接を繰り返しているうちに、まぼろし~~ではありませんが、そのようなイメージの自分が現時点の自分である、と思い込んでいくような気がします。

仕事を自信を持ってバンバンこなす(イメージですが)自分が、入社して3か月たっても、そのイメージのスタートラインに立たせてもらうことは、現実は難しい。そのあたりが、次第にギャップとなり、『転職をしたほうが自分のスキルが活かせる』『もっと自分が輝く仕事がしたい』と足元を見ないで5メートル先しか見えなくなることが、実際に起こっているのではないかと思うのです。

だから、数年前よりも今はもっともっと真剣に当たりまえに、入社前に“現実”を見る癖をつけてもらわないと、本人が不幸になってしまうと考えています。

社会人に求められること、それは学生と社会人とではどのように違ってきているのか、職場で接する多くの先輩たちとはどのようなコミュニケーションをとり、どのような人間関係を築いていくと、自分が会社に通勤しやすくなるのか、・・・そんなことを教えておきたいと思っています。

若干講師の私の方の熱量が高く、本人たちは冷ややかに“わかってるよ、そんなこと”という顔をしていますが、耳に入れておくだけでもその後に違いが出るはず。

私がサラリーマンを辞めて起業して18年。もう以前の経験は昔話になりつつあることも痛感しています。あと何年、こうしてフレッシュマンたちを前に話ができるだろう・・・?。そんなこともふと頭をよぎらないわけではありませんが、私が教えなきゃ、誰が教えられるのだろう?そんな強い想いで、もう少し頑張っていこうと思っています。

そして、その新入社員を指導する【新入社員教育担当者・メンター研修】も終わりました。こちらは参加者の年齢や職位が様々でしたが、非常に皆さん真剣でした。新入社員との世代ギャップも大きくなり、理解し合うことが難しいという現状もあるようです。

それ以上に、新入社員をしっかり育てていきたいという、真摯な熱意を感じました。

やっと新年度が動き始めた感じを、研修を通して実感しているこの頃です。