毎日違う企業の、異なる職種につくフレッシュマンの中で、私は“今年らしさ”を感じている。
今年は今日までに87名の新入社員さんたちにビジネスマナーを伝えてきた。
非常に、研修の進行が楽だ。行儀について叱ることは少ない。
そこそこ空気を読んでくれるので、助かる。
特に、全体で統一で何かをやらせるときは、そこそこ一体化した空気感がある。
「うちの社員はいいでしょう!」とおっしゃる採用担当者の顔を見るのが、嬉しい。
数年前と違い、身だしなみもすっかり落ち着き、「いいでしょう」と言いたくなるのが分かる。
『おりこう』感がある。
社会に慣れずに右往左往しているような、ガチャガチャした違和感を感じさせないのも特徴だ。
すう~っと、社内になじんでいる。
新入社員のタイプを毎年発表している公益財団法人・日本生産性本部によると、
2015年の新入社員は、「消せるボールペン型」と発表している。
今人気の消せるボールペンは
「書き直しができる機能、いわば変化に対応できる柔軟性がある」という。
東日本大震災の直後に、大学に入学した世代であり、さまざまな状況変化があったなかで、いろいろ対応することが出来るようになった世代ということだろうか。
消せるボールペンと言うお題を使わせてもらえば、確かにスマートで、お行儀がいい。
はみ出したり、目だったりしない。『きちんと感』がある。
私から見ると、柔軟性が在るとは、まだまだ思えない年齢だ。
柔軟と言うより、対応の仕方を探っているように見える。
自分を出そうというより、周りに合わせようとしている。しかも、同世代という周りに対してである。どんぐりの背比べ状態を好んでいるように見える。
そこに価値を置いているように見える。
別の言い方をすれば、“あいまい”なのだ。だから大勢の中の一人として行動する時は、あいまいゆえに、逆に目立たず、ある程度自分を発揮できている。
(一人でやらせると、大勢ではできていたことが、出来ない等現象が現れる)
これは、今年のフレッシュマンだけの問題ではないが、
自分の言いたいこと、したいことが、よくわかっていないのだろうと思う。
『ここっ!』というポイントが、たくさんありすぎて、絞れていない。
いや、絞らないようにして、人と合わせようと探っている、その別の意味での頭の良さは感じる。
行儀で叱ることは少なくなったが、
「もっとしっかり自分の頭で考えて!」というゲキはよく飛ばす。
なぜかと言うと、“情報”と“自分の考え”を区別できない事が多いからだ。
情報を収集することは得意な世代だろう。
その情報を見極めたり、理解を深めるための次の一歩の踏み込みが、まだない。
そのあたりが「指示待ちで、主体性が無い」と唯一上司に愚痴らせるところかもしれない。
でも、この点に関しては、
研修中発言したことに、意地悪く突っ込んで行くと、いささかむかつき始める表情をしつつも、だんだん回答が明確になり、的が絞れていく若者が多い。
ということは、ここからの新入社員の成長は上司の腕の見せ所かもしれない(笑)。
そして、
消せるボールペンは、その一方で、
「使い勝手の良さから、酷使しすぎると、インクが切れてしまうように離職してしまう」と指摘してされている。
やはり、本人より指導・育成する上司の力量が問われる時代になってきたようだ。